重要なポイント:
- 投資適格級のプライベート・クレジット(「プライベートIG」)は、この15年間、クレジット市場の中でも特に急成長した分野だ。元々プライベート・クレジットは私募債が主流であったが、今や資産担保ファイナンス(ABF)とオーダーメイドでの企業の資金調達ソリューションの双方で幅広い投資商品を提供する市場へと発展し、潜在規模は40兆ドルに上ると見込まれる1。
- プライベートIGは、魅力的なリスク調整後リターンを提供しているが、クレジット市場のイノベーションのペースに追いつけない既存の資産配分の枠組みにうまくはまらないため、これまで注目度が低かった。
- 従来、プライベート投資は、流動性や透明性、規制、発行体の質といった点で、パブリック投資よりも本質的にリスクが高いと認識されてきたが、この考え方は今や時代遅れになりつつあると考える。それを裏付ける最も明確な根拠が、投資適格社債の発行体である大手企業の多くが、プライベート・クレジット市場を活用して資金調達源の多様化を図っていることだ。二つの市場の垣根は徐々に低くなり、リスク特性も似通ってきていると我々は考える。
- プライベートIGは、上乗せスプレッドの高さ、過去の損失実績の低さ、返済順位の高さ、相場下落に対する下方耐性など、魅力的な特徴を幅広く有している。さらに、投資ポートフォリオにおける分散効果の向上にも貢献する。
- プライベートIGの成長の柱は、退職資産形成を支えるという重要なニーズの高まりである。退職資産のポートフォリオは一般に債券の比重が高いため、プライベートIGを活用して退職用債券ポートフォリオのリターンを増やすことは、将来の退職者が抱える経済的な問題の対応策として重要な役割を担うであろう。
1. 出所:アポロのアナリスト。バリュエーションは、投資ユニバース内の資産クラスの市場規模を基準にしている。