進化するパートナーシップ:パナソニック オートモーティブシステムズ
アポロが2024年に手掛けたパナソニック オートモーティブシステムズのカーブアウト案件は、事業パートナーシップにより、世界水準の事業が競争上の位置づけを見直し、長期的なグローバル競争力を強化し得ることを示す事例です。
変化する事業環境
日本企業をめぐる環境は変化しています。業界を問わず企業は、資本配分方法、事業ポートフォリオの構成、そしてグローバル市場での競争のあり方を見直しています。かつてはまれだったスピンオフやカーブアウトも、いまでは企業価値を引き出し、経営の焦点を絞り込むための手段として受け入れられるようになっています。
案件がもたらす機会
パナソニック ホールディングスは、日本を代表するグローバル企業です。事業ポートフォリオを見直す中で、車載システム事業はひときわ目を引く存在でした。世界で戦える可能性を秘めており、大規模なコングロマリットの中では維持しにくい明確な責任の所在と経営上の注力があれば、成長を遂げる事業だったからです。
パナソニックが求めていたのは、複雑なグローバル案件に対応できるだけでなく、この事業の価値を支えてきた経営陣、顧客との関係、組織に蓄積された知見を守ることができるパートナーでした。
パートナーとしてのアポロ
2024年、アポロのファンドはパナソニック オートモーティブシステムズの株式80%を取得し、パナソニック ホールディングスは20%を維持しました。この取引は、売上高ベースで日本最大のスポンサー主導型コーポレート・カーブアウトであり、20カ国超にまたがる20社の子会社を含み、売上高は約80億ドルにのぼりました。
アポロは自動車分野での経験に加え、日本の企業文化も深く理解していたため、自動車業界のエコシステム全体にわたる長年の関係性の中を巧みに舵取りしながら、戦略的な継続性を損なわずに、迅速に動くことができました。
「特定事業に集中したオーナーシップにより、世界水準の日本事業は次の成長段階を切り拓くことができます。経営陣と協力しながら、戦略的な構想を実行へと落とし込むことがアポロの役割です。」
~ 岡本哲士 投資統括 日本代表 パートナー ~
グローバルリーダーへの道
独立した会社として、パナソニック オートモーティブシステムズは、統合コックピットシステムと先進車載ソリューションの分野で世界ナンバーワンを目指すという明確な目標を掲げています。
永易正吏CEOは、アポロとのパートナーシップによって、意思決定の迅速化、優先順位の明確化、説明責任の強化が進み、会社経営のあり方が変わってきたと述べています。こうした規律面での変化は、自動車そのものに対する業界の見方が広く変わりつつあることと重なります。走行性能そのものに留まらず、快適性、パーソナライゼーション(個人化)、テクノロジーを通じて車内体験を高める新たなモビリティへの再定義として捉えられつつあるのです。
今後の方向性は、二つの段階に分かれます。
- 第一段階は、基盤を固めることです。カーブアウト後、同社は業務の効率化、技術投資、そして主要業績指標(KPI)である「EBITDAから設備投資を差し引いた指標」の改善を進めています。独立した会社であることは、経営の明確化を迫ります。意思決定はより迅速になり、結果に対して誰が責任を負うのかも明確になります。
- 第二段階は、成長です。コスト構造のスリム化と業務運営上の規律強化を進めながら、パナソニック オートモーティブシステムズは新規案件の獲得に取り組んでいます。目指すのは、日本のすべてのOEM各社にとって不可欠なサプライヤーとなることです。短期的な利益率の拡大ではありません。長く続く事業を築くことです。
初期段階では良好な兆候を示しています。利益率は改善しており、幅広い日本の自動車メーカーからの新規受注にも弾みがついています。
同社はまもなく、モビテラという新たな社名で事業を展開する予定です。これは、もはや大きな組織の一部門ではなく、独自のアイデンティティ、戦略、目標を持つ企業であることを明確に示す意図的な一歩です。
日本に対するアポロのコミットメント
パナソニック オートモーティブシステムズは、アポロが日本で一貫して採用してきたアプローチを示す一例です。アポロは実績ある企業と協力し、それらの企業が事業の焦点を定め、成長し、より効果的に競争できるよう支援してきました。このアプローチは、アルテミラやマフテックへの投資にも表れています。
日本の企業環境は今も変化を続けています。事業ポートフォリオの次の一手を検討している企業にとって、パナソニック オートモーティブシステムズの事例は、こうしたパートナーシップがどのような形を取りうるかを示す好例といえるでしょう。