重要なポイント:
米国では、パブリック市場の株式と債券のバリュエーション上昇、根強いインフレ、金利が「より高く、より長く」維持される見通しなどから、多くの投資家が2025年以降のポートフォリオの資産配分に極めて慎重になっている。本稿では、足元の環境が、伝統的な60/40ポートフォリオ(株式60%、債券40%)の有効性に疑問符を投げかける可能性があると同時に、プライベート市場への魅力的なエントリーポイントを提供している背景を詳しく掘り下げる。
S&P500種株価指数(S&P500)は、3月初旬に大きく調整したものの、新型コロナウイルスのパンデミックが収束して以来、急激な回復を遂げ、株価バリュエーションは、本稿執筆時点で極めて高い水準を維持している。債券も状況は同様で、クレジット・スプレッドは、過去の平均と比較するとタイトな状況が続いている。
もちろん、歴史が示す通り、市場は突然、方向性を変えることがあり、加えて、大胆な政策目標を矢継ぎ早に実施する構えのトランプ新政権が誕生したことで、今後数週間から数カ月にかけて、市場のボラティリティは一層高まる可能性もある。現在のバリュエーションの高さを踏まえると、パブリック資産が過去の平均的な水準に戻るには、大幅なドローダウン(価格の下落)が必要になると考える。
株式と債券の好調なパフォーマンスは、60/40ポートフォリオの投資家に極めて良好な環境を提供してきた。実際、この2年間は毎年、年率10%後半のリターンを上げてきた。投資家が今直面している問いは「この好調が今後も続くのか?」だ。歴史は、その可能性が極めて低いと語っている。